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勘定科目「前払費用」の仕訳例!翌期への振替や短期・長期の使い分け

勘定科目「前払費用」の仕訳例!翌期への振替や短期・長期の使い分け
更新日:2025/7/31

オフィスの賃料やOA機器のリース料のような、継続的に利用するサービスの費用を先払いした場合は、勘定科目の「前払費用」を使います。前払費用を用いると、支払時・決算時・翌期首のタイミングでそれぞれ仕訳を行うことになるため、経理担当者の方は正確な処理方法を把握しておかなければなりません。

この記事では、勘定科目「前払費用」に関する基礎知識や、ケース別の仕訳例などの情報をご紹介します。複雑な前払費用の仕訳を正確に処理するために、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:仕訳作業のために知っておきたい勘定科目(経費科目)一覧

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先払いした費用に用いる勘定科目「前払費用」とは

勘定科目の「前払費用」は、継続的に提供されるサービスに対して先払いした費用を、一時的に資産として処理する場合に使用します。

これは発生主義的な考え方の企業会計で一般的に用いられているルールであり、支払いのタイミングではなく、サービスの提供を受けた際に費用が生まれるのがポイントです。

例えば、翌月分のオフィスの賃料を先払いした場合は、まず「前払費用」として計上し、オフィスを1カ月利用したら「地代家賃」として処理することになります。

勘定科目の「前払費用」は、オフィスの賃料やOA機器のリース料のほかにも、以下のような費用に対して用いられます。一般的な例を以下の表にまとめました。

【「前払費用」が使われる主な費用の種類】

種類 具体例 サービス提供時の勘定科目
家賃 翌月分のオフィスの賃料など 地代家賃
保険料 火災保険・賠償責任保険など 保険料
広告費 雑誌・Web媒体などの掲載枠を事前に確保する場合など 広告宣伝費
リース・レンタル料 OA機器・重機のリース契約など リース料
定期購読料 業界紙・新聞など 新聞図書費

補足:「前払費用」「前払金」「仮払金」の違い

「前払費用」「前払金」「仮払金」は、いずれも先払いを行う際に用いられる勘定科目です。ただし、それぞれ違いがあるため混同しないよう注意して使い分けましょう。

「前払費用」は、未提供のサービスに対して先払いする場合に用いられ、サービス提供の継続性を前提としている点が特徴です。「前払金」も同様に未提供のサービスに対して先払いする場合に用いられますが、こちらは一時的に提供されるサービスが対象となる点に違いがあります。「仮払金」は用途や金額が確定していない段階での先払いに用いられます。

勘定科目「前払費用」を用いる仕訳例

勘定科目の「前払費用」を用いる場合は、支払時・決算時・翌期首のタイミングでそれぞれ仕訳を行います。発生主義に基づく厳密な会計処理では、支払時に全額を「前払費用」として資産計上し、その後、サービス提供期間に応じて費用に振り替えるのが原則です。しかし、その方法では仕訳の手間が多くなることから、実務上は支払時に全額を当期の費用として計上する方法を採用している企業も少なくありません。

このような背景から、以降では支払時に全額を当期の“費用”として計上する方法での仕訳例をご紹介します。

ケース1

3月決算の法人が、2年契約の火災保険料480,000円を、4月に銀行振込で支払った

このケースを想定して、仕訳例を確認してみましょう。

【支払時】

支払時には、2年分を先払いした火災保険料480,000円を“当期費用”として全額計上します。借方科目は「保険料」、貸方科目は「普通預金」と記入しましょう。

借方 貸方
保険料 480,000円 普通預金 480,000円

【決算時】

決算時には、残り1年分(20,000円×12カ月分)の保険料240,000円を、勘定科目「前払費用」として資産計上します。借方科目は「前払費用」、貸方科目は「保険料」と記入しましょう。

借方 貸方
前払費用 240,000円 保険料 240,000円

【翌期首】

翌期首には、決算時に資産計上した残り1年分の保険料240,000円を、再度振り替える処理を行います。借方科目は「保険料」、貸方科目は「前払費用」と記入しましょう。

借方 貸方
保険料 240,000円 前払費用 240,000円

翌決算時に前回決算と同じ処理を行ったら、仕訳が完了となります。

「前払費用」は短期と長期に分類されることがある

「前払費用」は、サービス提供を受けるまでの期間によって、短期と長期に分けて処理する場合があります。

  • 短期前払費用: 先払いを行ってから1年以内にサービス提供を受ける場合に用いられます。
  • 長期前払費用: 1年以上のサービス提供を受ける場合で、先払いの期間が1年を超える部分に対して適用されます。

このように短期と長期に分けて処理するのは、支払金額が大きくかつ契約期間が1年を超えるケースです。ただし、一般的に中小企業の月次会計では短期と長期に分けた対応はあまり行われていません。あくまでも会社の経理処理の方針に合わせて対応するとよいでしょう。

なお、短期前払費用は「契約に基づいてサービス提供を受ける」などの一定の要件を満たすことで、損金算入できる可能性があります。特例の適用条件について詳しくは、本記事と併せて国税庁のWebサイトでご確認ください。

出典:国税庁「No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合

続いて、ケース1と同様に、3月決算の法人が2年契約の火災保険料480,000円を銀行振込で4月に支払った場合を想定して、短期と長期に分けた仕訳のポイントをご紹介します。

【支払時】

支払時は、借方に「短期前払費用」で240,000円、「長期前払費用」で240,000円と記入します。貸方には「普通預金」で480,000円と記入しましょう。短期前払費用は当期中に費用化されるため「流動資産」の扱いとなり、長期前払費用は1年超後に費用化されるため「固定資産」の扱いとなります。

借方 貸方
短期前払費用
長期前払費用
240,000円
240,000円
普通預金 480,000円

【年度決算時(1年目)】

1年目の年度決算時には、1年目分の短期前払費用を当期分として費用計上します。借方科目は「保険料」、貸方科目は「短期前払費用」と記入しましょう。

借方 貸方
保険料 240,000円 短期前払費用 240,000円

【翌期首】

翌期首には、もともと長期前払費用だった分が1年以内に費用化されるため、短期前払費用に振替を行います。借方科目は「短期前払費用」、貸方科目は「長期前払費用」と記入します。

借方 貸方
短期前払費用 240,000円 長期前払費用 240,000円

【年度決算時(2年目)】

2年目の年度決算時には、振替を行った短期前払費用を当期分の費用として計上します。借方科目は「保険料」、貸方科目は「短期前払費用」と記入しましょう。こちらで仕訳が完了となります。

借方 貸方
保険料 240,000円 短期前払費用 240,000円

「前払費用」の使い方を理解して正確な勘定科目で仕訳しましょう!

今回は賃料や保険料の例をもとに仕訳方法を解説しました。実務では、保険料・家賃・リース料・広告宣伝費など、継続的なサービスに関する請求書や領収書が月々届きます。これらの費用を経費精算する際には、「支払時」「決算時」「翌期首」それぞれで仕訳処理が必要になるため、正確な対応が欠かせません。

しかし、こうした明細の分類や前払費用への正しい振り分けは、件数が多くなるほど手作業で処理するのは非常に煩雑となります。入力ミスや処理漏れが発生しやすく、経理担当者にとっては大きな負担となるでしょう。そんなときは、経費精算システムを活用することで、仕訳作業を自動化・効率化することが可能です。工数を減らしながらも、正確な処理を実現できるため、業務負担の軽減と精度向上の両立が期待できます。

例えば、クラウド型経費精算システム「楽楽精算」を導入すれば、便利な機能で仕訳を自動化できるのが魅力です。

「楽楽精算」には、以下のような機能が搭載されています。

特徴1:自動仕訳機能

申請内容から勘定科目や税区分の振り分けを行い、仕訳を自動化します。大量の領収書・請求書の内容を自動で仕訳できるため、経費精算から会計処理までの手間を軽減できます。仮払いや立替金の仕訳にも対応可能です。貸方・借方の内容チェックのみで仕訳が完了するので、経理担当者の仕訳作業を大幅に効率化できます。

特徴2:会計ソフト連携機能

データ連携によって、「楽楽精算」に登録された仕訳データをそのまま会計ソフトに取り込むことが可能です。経理担当者が手入力で会計ソフトに転記する時間と手間を減らし、会計業務の効率化やミス削減に貢献します。

特徴3:法人カード連携機能

法人クレジットカードの利用明細データをそのままシステムに取り込み、経費申請に活用できます。データに基づいて申請を行えるため、申請者の入力時間が削減される上に、手入力で発生するミスを無くすことが可能です。さらに、立て替えたお金の返金作業がなくなることで、経理担当者の対応業務が減り、負担を抑えられます。

さらに、「楽楽精算」を導入するだけで電子帳簿保存法やインボイス制度などの法対応を簡単に進められます。具体的な導入メリットについて詳しくは無料の資料でご紹介しているため、以下のフォームからぜひお問い合わせください。

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