香典の勘定科目とは?仕訳方法や経費計上のポイント、注意点

自社の社員・社員の家族・取引先といったビジネスの関係者に不幸があったとき、会社として香典を渡すことがあります。こうした場合、香典は経費計上できるのでしょうか。また、経理処理での勘定科目はどちらに該当するのでしょうか。
この記事では、ビジネスシーンにおける香典の勘定科目をはじめとした基礎知識を解説します。香典の仕訳方法や経費計上の注意点までお伝えするため、経理部門の担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
香典は経費として計上できる?
ビジネス上で関わる人が亡くなり、会社側から渡した香典は、経費計上することが可能です。ここでいう“ビジネス上で関わる人”とは、具体的に社員・社員の家族・取引先・取引先の家族などが該当します。
例えば、以下のようなケースでは香典の支出を経費計上できます。
【香典を経費計上できる主なケース】
- 従業員に不幸があり会社側から遺族へ香典を渡した場合
- 従業員の家族に不幸があり会社側から従業員へ香典を渡した場合
- 得意先の役員に不幸があり会社側から香典を渡した場合
その一方で、経費として認められないケースも存在します。例えば、従業員が個人的な判断で香典を渡した場合は経費として扱えません。あくまでも会社側から香典を渡した場合に経費として認められる点を押さえておきましょう。また、詳しくは後の見出しで解説しますが、香典の相場から著しくかけ離れた金額を渡すと、経費として認められないおそれがあります。
香典を経費計上する際の勘定科目は、ケースごとに異なります。次の見出しでケース別の事例をご紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
香典を経費にする際の主な勘定科目と仕訳例
続いて、香典の支出の経費処理について確認していきましょう。ここでは、以下の勘定科目ごとに具体的な仕訳例をご紹介します。
- 福利厚生費
- 接待交際費
ケース1)福利厚生費
自社の社員や、社員の家族に不幸があった場合の香典は、福利厚生費として経費計上します。勘定科目の「福利厚生費」とは、企業が従業員のために業務以外で使うお金を指します。基本的には、従業員が安心して働けるよう、会社が給与以外のサービスとして提供するものが福利厚生です。
具体的には、「従業員本人が亡くなった際に渡す香典」「従業員の家族が亡くなった際に渡す香典」などが福利厚生費に該当します。従業員だけでなく、従業員の家族の分まで含まれることを押さえておきましょう。このほかに、会社の慶弔規程によっては「退職した従業員」の分まで含まれるケースもあります。
【勘定科目と仕訳例】
部長の家族に不幸があったため、50,000円の香典を支出した場合の仕訳例です。借方に「福利厚生費」で「50,000円」と記入し、貸方に「現金」で「50,000円」と記入しましょう。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
福利厚生費 | 50,000円 | 現金 | 50,000円 |
ケース2)接待交際費
自社の取引先や、取引先の家族に不幸があった場合の香典は、接待交際費として経費計上します。勘定科目の「接待交際費」とは、取引先などビジネスの関係者への接待で使うお金を指します。基本的には、ビジネスの関係者との飲食代や、お中元・お歳暮といった贈り物代が該当します。
具体的には、「取引先の役員が亡くなった際に渡す香典」「取引先の役員の家族が亡くなった際に渡す香典」などが接待交際費に該当します。福利厚生費と同様に、接待交際費の場合も取引先の家族の分まで経費計上することが可能です。
【勘定科目と仕訳例】
取引先の役員に不幸があり、30,000円の香典を支出した場合の仕訳例です。借方に「接待交際費」で「30,000円」と記入し、貸方に「現金」で「30,000円」と記入しましょう。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
接待交際費 | 30,000円 | 現金 | 30,000円 |
香典を経費計上する際の注意点
最後に、香典を経費計上するときに注意したいポイントをお伝えします。正確な経費処理のために、経理担当者の方は以下の注意点を確認しておきましょう。
香典は消費税の課税対象外になる
香典には消費税がかかりません。そのため、香典を経費計上する場合は課税仕入には含めずに処理しましょう。そもそも香典の課税区分は「不課税取引」に該当します。香典のやり取りは、事業で対価を得るための取引には当たらないため、消費税がかからないのです。ただし、香典と同じく葬儀に関わる費用のなかでも、供物や供花などは課税対象になります。
社葬費用を全額福利厚生費に計上できる場合がある
社葬とは、会社が施主となる葬儀のことです。社葬を行う場合、社葬費用の全体を福利厚生費として経費処理できる場合があります。具体的には、以下のような葬儀に関わる費用が含まれます。
【社葬で会社が負担する主な費用】
- 案内状の作成費用
- 葬儀場の使用料
- お布施
- 参列者の送迎費用
- 会葬礼状や香典返しの費用 など
ただし、社葬の費用が経費として認められるかどうかは、故人の会社への貢献度や、故人が亡くなった理由などから判断されます。一般的には、会社の創業者や経営層が亡くなったケース、従業員が業務上で亡くなったケースなどは、社葬として認められるとされています。
あまりに高額な香典は経費として認められない場合がある
香典の金額が相場から著しくかけ離れて高額の場合、経費として認められないおそれがあるため注意しましょう。高額な香典を渡すと、渡した相手が税務調査の際に説明を求められるだけでなく、場合によっては所得税が課税される可能性があります。一般的に創業者や経営層の香典は金額が高くなる傾向にあるものの、役職別の社会通念上の相場の範囲で渡すとよいでしょう。
【役職別の香典の相場】
故人の役職 | 香典の相場 |
---|---|
創業者・社長・会長など | 30,000~100,000円 |
副社長・役員など | 10,000~100,000円 |
取引先の担当者など | 5,000~30,000円 |
なお、勘定科目全般については、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
ビジネスで関わる人の香典は正しい勘定科目で経費精算しましょう!
ここまで、香典を経費計上する際の勘定科目や、経費計上の注意点をお伝えしました。会社側からビジネスの関係者へ渡す香典の費用は、経費に該当します。状況に応じて「福利厚生費」または「接待交際費」の勘定科目で仕訳しましょう。
ご紹介したように、香典を経費計上する場合は具体的な場面に合わせて仕訳の判断を求められ、経理担当者の負担が大きいといえます。複雑な仕訳の手間をなくし、経費精算を正確かつ速やかにこなすなら、専用システムを導入する方法がおすすめです。なかでもクラウド型経費精算システム「楽楽精算」には、仕訳をラクにする便利な機能が搭載されています。
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