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保証料の勘定科目に迷わない!仕訳の方法や注意点、仕訳例について解説

保証料の勘定科目に迷わない!仕訳の方法や注意点、仕訳例について解説
更新日:2025/12/1

保証料の支払いで、どの勘定科目を使うべきか判断に迷っていませんか?「長期前払費用」なのか、「支払手数料」として処理して良いのか、過去の処理が正しかったか不安に感じている経理担当者の方も多いでしょう。

本記事では、家賃保証や融資保証など、保証料の性質に応じた適切な勘定科目と処理方法を、具体的な仕訳例とともに解説します。
正しい処理方法を理解し、正確かつ効率的に経理業務を進められる環境整備を進めましょう。

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保証料とは?性質と勘定科目の種類

まずはじめに、保証料の定義や性質からおさらいしましょう。

そもそも「保証料」とは

経理処理を行う上で、まず「保証料」の性質を理解することが重要です。

保証料とは、将来の一定期間にわたるリスクを保証してもらうことに対する対価として、保証会社や金融機関などに支払う費用のことです。

主な保証料の例として、以下の2つが挙げられます。

  • 家賃保証料:不動産賃貸契約時に、借主が家賃を滞納した場合に備え、保証会社に支払う費用
  • 融資保証料:金融機関からの借入時に、債務者が返済不能になった場合に備え、信用保証協会や保証会社に支払う費用

保証料の種類によって仕訳の方法も異なるため、注意が必要です。

保証料に用いる主な勘定科目

保証料の仕訳方法・用いる勘定科目は、保証期間ごとに異なります。保証料に用いる勘定科目について、詳しく見ていきましょう。

関連記事:【2025年最新版】実務で使える勘定科目一覧と仕訳ミスがなくなる基本ルール

支払手数料

保証期間が当期期間内に終了する場合、保証料は「支払手数料」の勘定科目として支払った年度に全額経費計上します。

前払費用

支払った保証料の効果が翌期に及ぶ場合は、その翌期分の資産を勘定科目「前払費用」として処理します。これは、当期の正しい利益を計算するために、当期の費用と翌期以降の費用を明確に分ける会計上のルール(費用収益対応の原則)のためです。

長期前払費用

支払った保証料の効果が決算日から1年を超えて及ぶ場合は、「長期前払費用」の勘定科目として処理し、固定資産計上します。これは、1年を超える支出を区別する「1年基準」(ワン・イヤー・ルール)にもとづくためです。

高額支出を複数年にわたって正しく費用配分し、正確な経営状況を把握するために重要です。

保証料の仕訳方法の考え方

保証料の仕訳を正しく行うには、まず「目的(家賃・借入)」「金額」「保証期間」の3要素を契約書で確認します。これらの要素によって、会計処理や税務処理の方法が異なるためです。

保証料の処理は、大きく「金額」と「期間」の2つの軸で判断します。家賃保証料の場合は、主に金額(20万円基準)で処理が大きく分かれるのに対し、信用保証料の場合は保証期間の長さで費用配分が決まる点に注意が必要です。

保証料の種類 主な判断基準 使用する主な勘定科目
家賃保証料(賃貸) 支払い額が20万円未満か以上か
  • 支払手数料
  • 前払費用
  • 長期前払費用
信用保証料(融資) 保証期間の長さ(1年以内か超えるか)
  • 支払手数料
  • 前払費用
  • 長期前払費用

このように、最初に保証料の種類を特定すれば、適用すべきルールが明確になります。請求書が届いたら、すぐに仕訳するのではなく、まず契約内容を確認する習慣をつけましょう。

これらの判断軸を理解した上で、次章では、「支払手数料で済むケース」「長期前払費用が必要なケース」の具体的なパターン別に、仕訳例を見ていきましょう。

ケース別:保証料の適切な勘定科目と具体的な仕訳

ここでは、各パターンでいつ、どの勘定科目を使って仕訳するべきかを詳しく解説します。

パターン1:支払手数料で一括費用処理するケース

以下のいずれかの条件に該当する場合、支払時に全額支払手数料として費用処理が可能です。

条件 処理根拠 具体例
保証期間が1年以内 費用収益対応の原則 1年間の家賃保証料、短期の信用保証料
長期保証かつ20万円未満 税法上の少額特例(20万円未満なら一括で費用処理できるため) 2年契約の家賃保証料が18万円の場合

続いて、具体的な仕訳例を見ていきましょう。

仕訳例:家賃保証料180,000円を支払う場合

借方 貸方 摘要
支払手数料 180,000円 現金預金 180,000円 2年間の家賃保証料支払(20万円未満特例適用)

家賃保証料が20万円未満の場合、少額特例が適用されるため、支払手数料として一括で処理します。

パターン2:長期前払費用として資産計上・償却するケース(原則処理)

保証期間が1年を超え、かつ金額が20万円以上となる場合は、長期前払費用として資産に計上し、契約期間や税法上の償却期間で費用化します。

仕訳例:2年間の家賃保証料300,000円を支払う場合

1. 発生時(資産計上)

支払時に全額を長期前払費用として資産計上します。

借方 貸方 摘要
長期前払費用 300,000円 現金預金 300,000円 2年間の家賃保証料支払い(資産計上)

2.決算時(費用への償却処理)

費用化に用いる償却期間と勘定科目は、保証の種類によって異なります。

保証の種類 償却期間の基準 費用化に使う勘定科目(決算時)
融資保証料 契約期間(融資期間)で均等償却 支払手数料 または 支払利息
家賃保証料 税法上の償却期間(原則5年)で均等償却 長期前払費用償却

家賃保証料の償却期間は、会計上は「保証期間に応じて費用配分」するのが原則です。しかし、税務上は繰延資産として原則5年で均等償却する取扱い(法人税法)となります。

実務では税務基準に合わせて5年償却を採用するケースが一般的ですが、会計上の考え方との違いがある点に注意してください。

続いて、具体的な仕訳例を見ていきましょう。
たとえば、300,000円の家賃保証料を償却するケースの場合、家賃保証料は原則5年(60ヶ月)で償却します。つまり、年額は60,000円になります。

仕訳例:300,000円の家賃保証料を5年(60ヶ月)で償却する場合

借方 貸方 摘要
長期前払費用償却 60,000円 長期前払費用 60,000円 家賃保証料(長期前払費用)の当期分償却

保証料が返金される場合の仕訳方法

融資の繰上返済や賃貸契約の途中解約により、保証契約が途中で終了した場合、帳簿上に残っている長期前払費用の未償却残高を処理する必要があります。

  • 返金がない場合:保証が終了し、サービスを受ける権利がなくなったため、未償却残高を雑損失や支払手数料として一括で費用処理します。
  • 保証料の返金があった場合(繰上返済など):未償却残高を取り崩すとともに、実際に受け取った返金分を現金預金で受け入れます。この返金は、雑収入として計上するのが一般的です。

繰上返済による戻り保証料の仕訳例

例えば、5年契約(60ヶ月)で融資保証料500,000円を支払い、2年(24ヶ月)経過後に融資を繰上返済し、未償却残高300,000円のうち、280,000円が返金された場合の仕訳は以下のようになります。

仕訳例

借方 貸方 摘要
現金預金 280,000円 長期前払費用 300,000円 融資繰上返済に伴う保証料の返金
雑損失 20,000円 返金されなかった未償却残高の費用処理

長期前払費用(貸方)を未償却残高300,000円全額で取り崩すことで、帳簿上の資産残高がゼロになります。また、返金されなかった差額の20,000円は、手数料や違約金的な性格として雑損失または支払手数料で費用処理します。

保証料の仕訳処理時の注意点

保証料の会計処理で注意すべきポイントを解説します。正しいルールを理解していても、ちょっとした見落としが原因で、決算や税務申告で手戻りが発生することは少なくありません。

以下の注意点をおさえ、ミスのない経理処理を目指しましょう。

  • 保証料の仕訳で起きやすいミスと見落としを防ぐ
  • 消費税区分が適切か確認する
  • 契約期間や返金条件を忘れずに確認する

保証料の仕訳で起きやすいミスや見落としを防ぐ

保証料の仕訳で発生しがちなミスとして、「20万円以上の家賃保証料の一括費用計上」と「消費税区分の誤り」の2つが挙げられます。とくに「賃貸保証料の20万円基準」や「信用保証料の非課税ルール」は特殊なため、見落としや勘違いが起きがちです。

ありがちなミスと正しい処理を、以下で比較してみましょう。

ありがちなミス(悪い例) 正しい処理(良い例)
30万円の家賃保証料を「支払手数料」で一括費用計上した 「長期前払費用」で資産計上し、契約期間で償却する
信用保証協会の保証料を課税仕入れとして処理した 消費税は非課税仕入として処理する

これらのミスは追徴課税につながる可能性があります。保証料の支払い時に、以下の点を確認しましょう。

<ミスを避けるためのチェックリスト>

  • 賃貸か融資か?
  • 保証期間は1年以内か?数年にまたがるか?
  • 賃貸なら20万円以上か?

これらの習慣づけが、正確な月次決算を実現します。

消費税区分が適切か確認する

保証料は、家賃保証料と信用保証料で消費税区分が異なるため、誤りが起こりやすい取引です。とくに「信用保証料」という名称は同じでも、提供者が信用保証協会か民間保証会社かによって課税・非課税が分かれる点に注意が必要です。

  • 家賃保証料(賃貸):保証サービスの提供に対する対価となるため、課税仕入れとして処理します。
  • 信用保証料(融資):信用保証協会が提供する保証は、国の行為に準ずる性質から非課税仕入れです。ただし、民間保証会社による信用保証サービスは課税となる場合があります。

そのため、次の2点を必ず確認しましょう。

  • 保証の提供者は「信用保証協会」か「民間保証会社」か?
  • 請求書の消費税区分が正しく表示されているか?

消費税区分を誤ると、仕入税額控除の誤りにつながり、後日修正申告が必要になる可能性があります。保証料を処理する際は、勘定科目だけでなく消費税区分の確認も徹底しましょう。

契約期間や返金条件の確認を忘れずにする

保証料の処理は、契約期間や返戻条件に大きく依存します。

経理担当者は請求書だけで判断せず、保証料の仕訳前には必ず契約書で「正確な保証期間」と「繰上返済などによる返金(返戻)の有無」を確認しましょう。

以下に契約書を見て確認すべきポイントをまとめました。

確認項目 目的と重要性 具体例と会計処理への影響
保証期間 償却計算の基礎となるため、費用額の正確性に直結する
  • 3年契約の融資でも「37ヶ月」と記載があれば、37ヶ月で償却計算を行う
  • 1ヶ月でもずれると費用額が不正確になる
返金条件 繰上返済などで返戻金が発生した場合の、正確な会計処理のため
  • 「繰上返済時には未経過保証料の70%を返戻」とあれば、返金時に資産から正しく取り崩し、入金額との差額を計算する

保証料の会計処理が契約書に書かれている場合、仕訳入力時に契約書をデータ添付するなどして保存を徹底しましょう。これにより、償却根拠が明確になり、入金処理がスムーズになるだけでなく、税務調査での客観的証明も可能です。

保証料の勘定科目についてよくある質問

保証料の会計処理に関して、経理担当者からよくある以下の質問とその回答をまとめました。日々の業務で判断に迷いやすい具体的なケースを取り上げて解説します。

保証料の更新料は初回と同じ処理でいい?

更新料は初回の保証料と同じ考え方で会計処理しますが、勘定科目が同じとは限りません。これは「新しい期間に対する新たな保証契約の対価」と見なされるため、支払う都度「目的・金額・期間」のルールに立ち返って判断が必要です。

たとえば、以下のようなケースが考えられます。

ケース 初回保証料 更新料 会計処理(更新料)
事務所賃貸契約の更新 長期前払費用
300,000円
50,000円 支払手数料(一括費用処理)
事務所賃貸契約の更新 支払手数料
50,000円
300,000円 長期前払費用(償却)

更新料処理では「前回と同じ」という思い込みは禁物です。必ず更新料の金額や新しい保証期間を確認し、初回とは別の取引として、あらためて適切な勘定科目を判断しましょう

決算期直前に支払った保証料はいつの費用になる?

決算期直前に支払った保証料でも、費用計上できるのはその会計期間に属する日数分のみです。残りの期間は「前払費用」として翌期に繰り延べます。これは、現金の支払い時ではなく、サービスの効果を受けたときに費用を認識する「発生主義」にもとづくためです。

決算直前の支出でも全額を当期費用にするのは誤りです。決算期は期間按分が必要な取引に注意しましょう。

まとめ:保証料の勘定科目選択は金額と期間が判断のカギ

保証料の会計処理は「金額」と「保証期間」の2つで判断します。

  • 家賃保証料:20万円未満なら支払手数料で一括処理、20万円以上は長期前払費用として計上する
  • 信用保証料(融資):1年以内は支払手数料、1年以上は前払費用または長期前払費用として計上する

また、家賃保証料は課税仕入れ、信用保証協会の保証料は非課税など、消費税区分の確認も重要です。
保証料は契約内容によって処理が変わるため、契約書の保証期間・返戻条件を確認することを習慣化しましょう。

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