電子マネーで払ったものは経費精算できる?経理処理のポイントや注意点

電子マネーとは、電子的に決済を行うサービスの一つです。具体例として、公共交通機関で利用される「Suica®」や「PASMO®」などの交通系電子マネーや、「PayPay®」といったQRコード系電子マネーが挙げられます。
電車に乗る際には交通系電子マネーを利用したほうが現金よりも割安になる場合が多く、企業側にもメリットがある決済方法だといえるでしょう。
そんな電子マネーを利用して経費を支払った場合、経理部門ではどのように計上を行えばよいのでしょうか。この記事では、電子マネーで支払った場合の経費精算の基礎知識をご紹介します。
※ Suica®は東日本旅客鉄道株式会社の登録商標です
※ PASMO®は株式会社パスモの登録商標です
※ PayPay®はPayPay株式会社の登録商標です
この記事の目次
電子マネーで支払った場合は経費精算できる?
電子マネーで支払った経費は、問題なく経費精算できるのでしょうか?
結論から言うと、現金と同様に、業務上で発生した交通費や飲食費などの経費を電子マネーで支払った場合は経費精算が可能です。電子マネーの種類も問いません。
基本的に電子マネーは使用履歴が自動で記録される仕組みなので、経費の透明性を確保でき、業務効率化や不正利用防止につながる決済方法だといえます。
電子マネー利用時の経費精算・仕訳の方法
電子マネーは、大きく「プリペイド方式」「ポストペイ方式」「デビット方式」の3種類に分類できます。いずれの電子マネーでも経費精算が可能ですが、帳簿への記載方法が異なる点に注意が必要です。それぞれの記載方法について詳しく解説します。
プリペイド方式の場合
プリペイド方式の電子マネーは、事前にチャージ(=入金)を行い、チャージ分を支払いに利用する仕組みとなっています。具体例として、公共交通機関などで利用できる「交通系ICカード」や、スーパーやコンビニエンスストアなどで利用できる「チャージ型ICカード」が挙げられます。具体例として、「Suica®」「nanaco®」などが挙げられます。
プリペイド型の電子マネーの仕訳では、チャージした時点から「預け金」として仕訳する方法と、支払いに利用した時点から仕訳する方法があります。以下では、従業員が会社から貸与された交通系ICカードに1,000円をチャージして、残高から電車賃として1,000円を支払った場合の仕訳例を2つのパターンに分けてご紹介します。
※ nanaco®は株式会社セブン・カードサービスの登録商標です
チャージした時点から「預け金」として仕訳する方法
チャージした時点で、前払いした金額を「預け金」として仕訳する方法です。
まず電子マネーをチャージしたタイミングで借方に「預け金」、貸方に「現金」と記載します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
預け金 | 1,000円 | 現金 | 1,000円 |
その後、チャージした残高で電車賃を支払うときは、借方に「旅費交通費」、貸方に「預け金」と記載します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
旅費交通費 | 1,000円 | 預け金 | 1,000円 | 電子マネーで電車賃を支払い |
支払いに利用した時点から仕訳する方法
電子マネーを支払いに利用した時点から仕訳する場合は、チャージした残高を「現金」として扱います。借方に「旅費交通費」、貸方に「現金」と記載しましょう。電子マネーの利用頻度が低い場合は、こちらの方法で仕訳することも可能です。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
旅費交通費 | 1,000円 | 現金 | 1,000円 |
どちらの方法で仕分をするかは会社のルールによって異なります。自社のルールに従って統一した方法で仕訳しましょう。
ポストペイ方式の場合
ポストペイ方式の電子マネーは、厳密にいうとチャージした金額を後払いする仕組みとなっています。そのため、チャージしたタイミングで決済業者への未払金が発生するのが特徴です。一定期間内に支払った金額が後日まとめて口座から引き落とされます。具体的なサービスの例として挙げられるのは「QUICPay」「ETC」などです。
ポストペイ方式の電子マネーでは、消耗品を購入する際にチャージと支払いが同時に行われますが、仕分けでは、チャージした時点・支払いをした時点・口座引き落としが行われた時点の3回記帳するのが適格です。以下では、従業員が会社から貸与されたポストペイ方式の電子マネーで1,000円分の消耗品を購入した場合の仕訳例をご紹介します。
1,000円分の消耗品を購入する際、まずクレジットカードから1,000円をチャージしたとして、借方に「預け金」、貸方に「未払金」と記載します。続いて消耗品を購入したとして、借方に「消耗品費」、貸方に「預け金」と記載します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
預け金 | 1,000円 | 未払金 | 1,000円 | クレジットカードからチャージ |
消耗品費 | 1,000円 | 預け金 | 1,000円 |
後日、口座から引き落とされた時点で借方に「未払金」、貸方に「預金」と記載したら完了です。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
未払金 | 1,000円 | 預金 | 1,000円 |
デビット方式の場合
デビット方式では、決済時に銀行口座から引き落としが行われます。キャッシュレス決済の中でも主に「デビットカード」が該当します。決済と引き落としが同じタイミングで行われることから、仕訳の際の勘定科目が「預金」となることを押さえておきましょう。
以下では、従業員が会社から貸与されたデビットカードで1,000円分の消耗品を支払ったときの仕訳例をご紹介します。借方に「消耗品費」、貸方に「預金」と記載します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 1,000円 | 預金 | 1,000円 |
電子マネーの経費精算でよくある疑問
ここでは、電子マネーの経費精算に関するよくある疑問と回答をご紹介します。経理部門の担当者の方は、今後の支払い方法の電子化へ向けてチェックしておきましょう。
よくある疑問1:チャージの領収書を経費精算することは可能?
一般的に、電子マネーをチャージしたのみでは経費精算ができません。その理由は、チャージ分の全額が会社の業務で利用されたか確認できないためです。あくまでも、業務で利用した金額分のみ経費精算が可能となることを押さえておきましょう。
例えば、従業員が業務とプライベートで併用している個人用のICカードがあるとします。このような個人のICカードにチャージしたケースでは、業務に必要な商品・サービスへ支払いを行ったときに発行される領収書やレシートが必要です。チャージ分ではなく、業務での利用分をその都度精算する流れとなります。
よくある疑問2:溜まったポイントを使った場合経費精算できる?
従業員が私的に保有する電子マネーのポイントを使って業務に必要な商品・サービスへ支払いを行った場合も、問題なく経費精算が可能です。同様に、従業員が会社から貸与された事業用の電子マネーのポイントを使った場合も、経費精算ができます。その際は、利用金額やポイント利用分などの詳細を正確に把握するために、領収書や利用明細書を提出してもらいましょう。
ポイントを利用した分の経費精算について、詳しくは以下の関連記事でも解説しています。本記事と併せてご覧ください。
電子マネーの経費精算を行う際の注意点
電子マネーの経費精算では、煩雑な処理が発生しがちです。経理業務では下記の注意点を押さえておきましょう。
業務利用と個人利用の内訳を正確に管理する
従業員が私的に保有する電子マネーを経費精算で利用すると、会社と個人の支出を混同しやすくなります。経費精算の負担増加や人的ミスのリスクが懸念されるため注意が必要です。可能であれば会社がICカードを貸与し、ビジネス用とプライベート用で電子マネーを使い分けるのが望ましいでしょう。
経費精算のルールを社内で統一する
電子マネーを用いた経費精算のルールを社内で統一することで、業務効率化やミス削減が期待できます。例えば、経費計上は「経費が発生したらその都度行う」または「一定期間分を一括計上する」といったルールを決めて、社内で周知しましょう。また、電子マネーの経費精算の場合は、利用履歴の提出を必須とすることで、承認者や経理担当者の確認作業が行いやすくなります。
<ポイント>プリペイド方式なら経費の一括計上ができる
プリペイド方式の電子マネーなら、利用金額を決算時にまとめて計上することが可能です。経費精算の効率化に有効な手段として、多くの企業や個人事業主が一括計上を活用しています。
なお、ポストペイ方式やデビット方式の場合、引き落としのタイミングで計上が必要となります。利用したタイミングと預金口座から利用金額が引き落とされるタイミングの両方の時点で計上が必要です。
電子マネーと専用システムによる管理で経費精算がラクになる!
ここまで、電子マネーで支払った場合の経費精算の基礎知識を解説しました。経費精算業務をキャッシュレス化することで、小口現金の管理が不要になり、社内のお金の管理が大幅に効率化する可能性があります。加えて、専用システムを導入すれば、業務フロー全体が自動化され、申請者・承認者・経理担当者の負担をさらに軽減できるでしょう。導入するシステムは、毎月の経費精算をラクにする機能が充実したクラウド型経費精算システム「楽楽精算」がおすすめです。「楽楽精算」の魅力を以下にまとめました。
ポイント1:ICカードの読み取り機能
交通系ICカードを専用アプリにかざすだけで、自動でデータを取り込めます。経費申請に必要なデータを自動で入力できるので、申請者の手続きが簡単になります。
ポイント2:クレジットカード・プリペイドカード連携機能
法人カード・プリペイドカードの利用明細を自動で取り込めます。連携可能なカードの種類が豊富です。手入力による人的ミスや不正を防止できるので、申請者や経理担当者の確認作業がラクになります。
ポイント3:自動仕訳・会計ソフト連携機能
事前に登録した勘定科目や税区分で自動的に仕訳を行います。さらに、仕訳データを会計ソフトに取り込むことが可能です。金額を手入力・転記する際のミスを削減できます。
「楽楽精算」のその他の機能や導入メリットは、無料の資料にてご案内しています。どうぞお気軽にご相談ください。
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